パンゲア大陸とは?
約3億3500万年前、古生代の終わりに向かう時代に、地球の陸地の大部分が集まり始めました。こうしてできた超大陸がパンゲアです。名前は古代ギリシャ語の「すべての陸地」に由来します。周囲には地表の約7割を占めるパンサラッサ海が広がり、南北に大きく延びた陸地は、気候、海流、生物の進化に深く影響しました。
パンゲアは最初の超大陸ではありません。大陸は数億年をかけて集まり、分かれる超大陸サイクルを繰り返してきました。パンゲアの前には、約11億年前のロディニアや、約18億年前のコロンビア(ヌーナ)などがあります。パンゲアは、その中でも新しく、特によく研究された例です。
パンゲアはどうやってできた?
形成には1億年以上を要しました。大きな役割を果たしたのが、現在の北米・ヨーロッパなどにつながるローロシアと、アフリカ・南米・南極・オーストラリア・インドを含むゴンドワナの衝突です。北米東部のアパラチアや西ヨーロッパの古い山地には、その造山運動の名残があります。
約2億9900万年前のペルム紀初めには、大陸の集合がおおむね進んでいました。海の湿気が届かない内陸には広い砂漠があり、東側からはテチス海がくさび状に入り込んで、北側と南側の陸地を隔てていました。
パンゲアはいつ、どう分裂した?
約2億年前、三畳紀末からジュラ紀にかけて、パンゲアに大きな裂け目が生じます。現在の中央大西洋に対応する地域では、大規模な火山活動も起きました。北のローラシアと南のゴンドワナの分離が進み、大陸配置が変わり始めます。
その後、南アメリカとアフリカの間も裂け、南大西洋が開いていきます。インドは東アフリカやマダガスカルから離れ、速い時期には年に約15cmという速さで北上しました。約5000万年前にユーラシアと衝突すると、ヒマラヤが隆起します。この山脈は現在も成長しています。
オーストラリアは約4500万年前ごろから南極との分離が進み、南極を巡る海流が発達する道が開かれました。これは南極の寒冷化に関わる重要な変化です。今も大西洋は年に約2.5cm広がる一方、太平洋では海洋プレートの沈み込みが続いています。
大陸の分裂は、生命と気候をどう変えた?
陸地がつながっていた時代には、生き物が大陸の間を移動できました。現在は広い海で隔てられた地域から、リストロサウルスや植物のグロッソプテリスなど、共通する化石が見つかるのはそのためです。こうした分布は、大陸移動説の初期の有力な証拠でした。
分裂で新しい海や浅海、沿岸のすみかができ、海洋生物の多様化が進みました。隔離された陸地では独自の進化が起こり、オーストラリアの有袋類、マダガスカルのキツネザル、南米の固有の生態系などにつながります。南米は約300万年前のパナマ地峡の形成で、北米と再びつながりました。
気候も変わりました。パンゲアの内陸は海の影響が小さく、夏冬の寒暖差が大きい環境でした。大陸が分かれると海流が組み替わり、熱の運ばれ方も変わります。ドレーク海峡などの海の通路の形成は、全球の海洋循環や新生代の寒冷化にも関わりました。
次の超大陸はできる?
約2億〜2億5000万年後に、大陸が再び集まるというモデルがあります。パンゲア・プロキシマ、アメイジア、ノヴォパンゲアなどの将来像が提案されていますが、どの海が閉じるか、どこに集まるかは異なります。大西洋が閉じてアメリカ大陸がヨーロッパやアフリカへ近づく、という説もそのひとつです。
細かな未来図はまだ議論の対象です。それでも、地球内部の熱とマントルの流動、プレートの沈み込みなどが大陸を動かし続けることは分かっています。地表は決して静止せず、何億年という時間で海や陸、生命の環境を変え続けます。
今の国々は、パンゲアのどこにあった?
上の検索欄で国を選び、時間をさかのぼってみましょう。現在の国土を目印に、土地のおおよその昔の位置を追えます。もちろん、その時代に今の国境が存在したわけではありません。現代の地図と古地理を結びつけるための表示です。
例えばインドはアフリカ側から離れて北上し、アジアとの衝突でヒマラヤをつくりました。オーストラリアは南極とのつながりを長く保っていました。スコットランドとニューヨークにつながる土地にも、イアペトゥス海を挟んだ接近の歴史があります。サウジアラビアは約3000万年前までアフリカ側とつながり、スペインを含むイベリア半島は白亜紀のビスケー湾形成に伴って回転しました。
身近な土地にも、何億年もの旅の歴史があります。地図で確かめてみてください。
地質年代ごとの地球を見てみよう
地図は顕生代の12の紀をほぼすべてカバーしています。大陸配置も気候も生き物も、時代によって大きく違います。下の時代を選ぶと、そのころの地図へ移動できます。
- カンブリア紀 5億4100万〜4億8500万年前
- 短い地質学的時間のうちに、動物の主要な体のつくりが次々に現れました。大陸は赤道付近や南半球に分布し、地球の広い範囲を大洋が覆っていました。
- オルドビス紀 4億8500万〜4億4400万年前
- 海の無脊椎動物が繁栄しました。末期には大規模な絶滅が起きます。氷河の発達によって海水が氷として陸上に蓄えられ、海面が大きく下がったことが関係したと考えられています。
- シルル紀 4億4400万〜4億1900万年前
- 生態系が回復し、生命の陸上進出が進みました。維管束を持つ植物が現れ、魚類も多様化します。海面は高く、暖かい浅い海が大陸の広い範囲に広がりました。
- デボン紀 4億1900万〜3億5900万年前
- 「魚の時代」とも呼ばれます。最初の森林が育ち、四肢動物が陸へ進出しました。ゴンドワナとローロシアは、次第に近づいていました。
- 石炭紀 3億5900万〜2億9900万年前
- 赤道付近に湿地林が広がり、後の石炭層のもとになりました。爬虫類が進化して内陸にも進出し、大陸はパンゲアへと集まりつつありました。
- ペルム紀 2億9900万〜2億5200万年前
- パンゲアがまとまった時代です。末期には地球史上最大級の大量絶滅が起き、海洋生物種の約96%、陸上脊椎動物種の約70%が失われたとする推定があります。
- 三畳紀 2億5200万〜2億100万年前
- 大量絶滅から生命がゆっくり回復し、最初の恐竜や初期の哺乳類が現れました。終盤にはパンゲアに裂け目ができ、分裂へ向かい始めます。
- ジュラ紀 2億100万〜1億4500万年前
- 恐竜が陸上で繁栄し、大西洋が開き始めました。北のローラシアと南のゴンドワナの隔たりが広がり、現在の大陸へ向かう分裂が進みました。
- 白亜紀 1億4500万〜6600万年前
- 恐竜がさらに多様化し、被子植物も広がりました。末期にはメキシコのチクシュルーブへ小惑星が衝突し、全生物種の約4分の3を失う大量絶滅が起きました。
- 古第三紀 6600万〜2300万年前
- 恐竜の絶滅後、哺乳類がさまざまな生態的役割へ進出して多様化しました。インドとアジアの衝突により、ヒマラヤの隆起も始まりました。
- 新第三紀 2300万〜260万年前
- 草原が広がり、アフリカでは初期の人類系統が現れました。気候は次第に寒冷化し、後の氷河時代へつながっていきます。
- 第四紀 260万年前〜現在
- 氷期と間氷期が繰り返されました。現生人類が進化して世界に広がります。大陸配置はほぼ現在の姿ですが、プレートは今も動き続けています。
地図の使い方と復元データ
この地図では、カンブリア紀初めの5億4000万年前から、パンゲアの形成・分裂を経て現在までをたどれます。時間スライダーを動かす、年代のバーを選ぶ、再生ボタンで連続表示するなど、好きな方法で探索できます。
古地理の復元は、シドニー大学のEarthByte Groupによるプレート運動モデルと、GPlates Web Serviceのデータに基づきます。現在から2億5000万年前まではMüller et al.(2019)、それ以前には10億年前までさかのぼるMerdith et al.(2021)の全球プレート復元を使います。
表示は復元モデルに基づくもので、地殻の変形、隆起、海面変動などを簡略化しています。過去の景色を直接観測した映像ではありません。
よくある質問
- PangeaとPangaeaは違う大陸?
- 同じパンゲア大陸です。Pangaeaは古代ギリシャ語のPangaiaに近い英語表記で、Pangeaは簡略化した表記です。どちらも使われます。Pangiaは誤記として見かける形です。
- ゴンドワナとローラシアの違いは?
- パンゲアの南側につながるゴンドワナは、南米、アフリカ、南極、オーストラリア、インドなどを含みます。北側のローラシアは、北米、ヨーロッパ、アジアの大部分につながる陸塊です。その後、それぞれがさらに分裂しました。
- 自分の国はパンゲアのどこにあった?
- 国名検索で現在の領域を選び、時間スライダーを約2億5000万年前へ動かすと、おおよその位置を見られます。インドはアフリカ側、オーストラリアは南極側とつながるなど、現在とは大きく違う配置でした。
- 人類がいなかったのに、なぜパンゲアが分かる?
- 離れた大陸に共通するグロッソプテリスやメソサウルスの化石、南米とアフリカの輪郭の一致、対応する岩石・山脈、当時の緯度を示す古地磁気など、独立した複数の証拠が一致するためです。
- プレートはどのくらいの速さで動く?
- 一般に年に1〜10cmほどです。インドはアジアとの衝突前、年に約15cmという速さで北上した時期がありました。大西洋は今も年に約2.5cmずつ広がっています。
- 将来また超大陸ができる?
- 約2億〜2億5000万年後に再集結するモデルがあります。パンゲア・プロキシマ、アメイジア、ノヴォパンゲア、オーリカなどの案がありますが、位置や形は確定していません。
- 分裂で生き物はどう変わった?
- 隔離された土地で独自の進化が進み、オーストラリアの有袋類やマダガスカルのキツネザルなどにつながりました。新しい海や沿岸の環境も生まれ、海流と気候の変化も生物に影響しました。
- この地図ではどこまで昔に戻れる?
- 5億4000万年前のカンブリア紀初めまでです。パンゲアが形成された古生代、分裂が進んだジュラ紀・白亜紀を経て、現在までの大陸配置を表示できます。